焼け跡とみずたまり

牧場王やら色々

祖父がプリペイドカード詐欺にあった話

かつてソクラテスは「無知の知」を説いたとされていますが、悲しいかな、不可解なことに謎の合理化を働かせてしまうのが人間です。

今回はそんな話です。

 

 結果から言いますと、祖父は24万円分のiTunesカードを購入させられ、うち16万円が誰とも知れない奴に流れていきました。

なんでこんなことになってしまったか、もし似たようなケースに遭遇した時どう対処すべきかをフローチャート形式で綴っていこうと思います。と言っても、テンプレのような展開なので目新しさはないのですが、これを読んだ方がご親族の危機を救えるようなことに繋がればと願っております。

事の発端

原因は不明なのですが、閲覧履歴から推測すると海外の怪しげなサイトで当該サイトのリンクを踏んだ・強制的に飛ばされたことから事態はスタートしたようです。そこで「Windowsファイアウォールトロイの木馬プログラムを検出した」と言った旨のウィンドウが。これを消したところ突如アドレスバーやタスクバーが消え警報音をかき鳴らしながら「WindowsDefenderがウイルスを検知したからこのパソコンは使えません。下記の番号がMicrosoftのコールセンターだよん」「強制シャットダウンしたらデータ飛ぶぞ」という文言とアナウンスが登場します。

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実際の画面。おかしい所を探してみよう!

それでコールセンター(仮)に連絡すると、何故か片言の日本語と英語で「お近くのローソンでiTunesカードを8万円分買って番号教えてね♡」「無料電話だから通話は切らないでね♡」と返答が。祖父母宅の近所にローソンがないためバイクを飛ばして買いに行き、プリペイド番号を教えました。案の定パソコンは復活せず、更にもう8万円分教え、3回目の購入時にようやく我が家に連絡が入り、詐欺だと気づいたのでした。

翌日祖父母宅に赴き、トラブルを解消し、警察に連絡して本件は終焉を迎えました。

 

総額24万円。iTunesカードは基本返金できない上、当然祖父に使い道がある訳もないので*1、宙ぶらりんになった未使用カードは孫たちの臨時給与になったのでした。おしまい。

 

 

 

 

 

 

ここまで読んでストレスを抱かなかった方は、相当心優しいか同じ穴の狢であるかのどちらかです。危機感を抱け

  

原因①焦燥感からくる非合理な合理化

ギリギリまで親族に連絡を入れなかったことからもわかるように、祖父母夫妻は非常に焦っていました。物々しい警告だけならまだしも鳴りやまぬ警音とアナウンスが二人を不安にさせたのは想像に難くありません。

しかし、この警告や通話相手の言い分には数々のツッコミどころ不審な点があります。

  • Microsoftのコールセンターなのにフリーダイヤルじゃない
  • MicrosoftiTunesカードを請求する意味(Appleは競合相手なんですけど…)
  • いくら米国企業だとて、きょうび英語で対応するはずがない

まぁ、後から部外者ならなんでも言えてしまう訳ですが、こういったことにも気づけないほど焦っていた訳です。あと、調べたら記載されてた番号はPHSのものだったようで、勿論無料通話にはなりません。有料です。足も付くしでダメなこと尽くしです。

英語が全くできないならまだしも、祖父はインテリで英語が出来てしまったがために(米国企業だし英語のガイダンスも当然だよな…)と考え、口車に乗せられた訳です。

どう考えても怪しいのに、無知ゆえに、あるいは無知を自覚していないがゆえに疑うことを止めてしまったのです。

 

原因②自己の過大評価 

こうして彼は的確に地雷を踏みぬいていきました。

が、何より危険なのが自分だけでトラブルを解決しようとしているところです。目に見えてボケていないとはいえ祖父ももう80代ですし、パソコンに詳しくも無いわけです。自分で手に負えないなら息子娘や孫に相談すればいい(事実それで解決した)のに、一人でやろうとして16万損したんですから、孫としては面白くありません。1/16の額で孫は喜ぶしトラブルは解決します。免許返納問題もそうですが、あまり自分を過大評価しないように、悲しいですが老いを認めてもらいましょう。それで皆しあわせです。

 

教えてあげよう!対処法①不審に思ったらブラウザバック

これが一番大事ですが、これを忘れタスクバーやマウスカーソルが消えてパニックになってしまったとき、Escapeキーを押しましょう。先ほどの事例だと、警告画面っぽいものを全画面表示してるだけなので*2、Escだけでアドレスバーなどが復活します。こうすればタブを閉じたりブラウザバックしたりが可能になります。

これでも無理なら、警告を無視して強制シャットダウンし、改めて家族や頼れる人にヘルプを求めましょう。

 

教えてあげよう!対処法②変なアプリや機能を入れるな

老若男女問わず広告を消そうとしてタップしてしまうことはあるかと思います。が、どうやら祖父は広告から飛ばされたものをなんでも受け入れてしまうようで、 以前タブレットを見たら大量のクリーナーアプリがインストールされていました。

今回怪しいサイトから飛ばされたことでトラブルになったわけですが、chromeの履歴を見るとリンク元と思しきサイトに過去何度かアクセスしていたようですが、祖父には身に覚えがないようです。で、拡張機能欄を見てみると、そのサイトに関連がありそうなものやどう見ても活用していないだろうものが大量にありました。何かのきっかけで拡張機能を追加してしまい、誤クリックし、詐欺サイトに飛ばされたのだと思います。

 

老人はchromeじゃなくてedgeを使おう。身に覚えのない通知を許可するな。使いたいアプリ・機能だけを選ぼう。そうお伝えください。

 

おしまい。 

*1:一応祖父もiPadを所持していますが、80過ぎた人がソシャゲなんてやるわけないじゃないですか

*2:私もPCに詳しいわけではないので、憶測です